50系より搭載されたE-Fourシステムとは?
プリウスとしては初となるE-Fourシステム!50系より搭載されたわけですが、他の車種にはE-Fourを搭載した車は多数あり、今となっては特に目新しいということもないかもしれません。
ただプリウスに搭載されているE-Fourは従来型とは少し違うシステム構造ですので、今回は詳しく説明していきたいと思います。
そもそもE-Fourとは?ということですが、HV4WDといってFFから4WDへと自動的に制御するシステムのことを言います。
E-Fourの具体的な働きは?
では実際にプリウスのE-Fourがどの様に作動するのかを説明していきたいと思います。
上記画像がE-Fourの仕組みの画像です。
リヤトランスアクスル&リヤモーターにリヤインバーターと書かれている部分がE-Fourシステムの搭載部分です。
E-Fourは電気式4WDですので今までの4WD車の様な前輪と後輪をつなぐシャフトは存在しません。(真ん中に見えているのはエキゾーストパイプです)
つまり後輪を単独で回転させることができるシステムを積んでいるということなんです。
このシステムが前輪側のシステムと共にパワーコントロールユニットの制御によって連携して作動するわけです。
例えばコーナリング時には車両の状態に合わせて、前後のトルク配分を最適化し、優れた操縦安定性をもたらしたり、発進時には前輪だけでなく後輪にも駆動力を配分し4WDとして発進、その後にスリップや路面の状態による4輪駆動の動力が必要ないと判断した場合には自然に後輪の動力は消え、前輪駆動へと変化します。
これらの動作をプリウス50系のE-Fourでは0~70キロの間まで前後輪の配分を10:0から4:6の配分比の間で制御します。
今までの他車に搭載されているE-Fourとの違いは?
さきほども言いましたが、E-Four自体は数年前から存在するシステムで、特別目新しいものではありません。
ですが、今回プリウスに搭載されたE-Fourには他車にはない構造になっています。
まず従来のE-Fourシステムは大きくて重量も重く、その為に搭載可能な車種が限られてきました。
実際にはミニバンや大型セダンなど大きな車体を持った車への搭載がほとんどで、コンパクトカーやミドルセダンなどには搭載が難しかったのです。
特にプリウスに関しては、昔から北陸・東北・北海道地区でも乗ってもらいたい!という思いがToyotaさんにもあり、是非E-Fourの設定を!という声が社内でも根強かったそうですが、燃費を売りにするプリウスにとって重すぎてスペースを取るE-Fourを搭載するのは極めて困難でした。
そこで新たにコンパクトカーでも搭載できるE-Fourシステムが誕生しました。
従来と同じ高出力モーターを搭載したE-Fourでは小型軽量化は難しい!最低限の動力性能に特化させて小型軽量化を図る!ということになったんです。
それがプリウスに搭載されているHV4WDと呼ばれるもので、街中や普段使うシーンで役に立つ!というコンセプトで作られています。
高出力型のE-Fourと違い後ろからグイグイ押す!という様な感覚はなく、モーターのパワーは500ccのバイク程の出力しかありません。
燃費の犠牲を最小限にしつつ、普段街中での使用に特化させることで、小型化と軽量化に成功。
その小型化率は高出力E-Fourに比べて75%もの小型化に成功しており恐ろしく小さくなっています。
今後はプリウス以外にもアクアなどのコンパクトカーにも搭載できる可能性を秘めた新しいシステムといえるかもしれません。
そういった意味においては冒頭に述べた目新しくない!という表現は少し違うかもしれません。
前輪駆動(FF)とE-Fourの相違点は?
では実際にプリウスで前輪駆動(FF)方式とE-Four方式では仕組み以外にどの様な違いがあるのでしょうか?
実は結構違いがあるんです!
その1 駆動用バッテリーが全グレードでニッケル水素になる!
前期型のプリウスはグレードによって駆動用バッテリーの種類が異なります。(後期型からは全グレードでリチウムイオンバッテリーになりました)
Aグレード以上がリチウムイオンバッテリー、Sより下のグレードがニッケル水素バッテリーとなっています。
ところが、E-Foerを選択するとグレードに関わらず、ニッケル水素バッテリーになります。(これは後期型も同じです)
理由はリチウムイオンバッテリーよりもニッケル水素バッテリーの方が低温化での性能が安定しているからだと説明されています。
しかし、Aグレード以上の車にとってはわざわざリチウムイオンからニッケル水素へ!というのは少し納得がいかない感じがします。
その2 荷室(トランクルーム)の容量が異なる!
いかに小型軽量化されたE-Fourシステムといえど、搭載するスペースは必要で、どうしても荷室のスペースは犠牲になります。
FF車の荷室容量が502リットルなのに対し、E-Fourは457リットルとなっています。
但しこのスペースに関しては天さん個人の意見としては、E-Fourを搭載しながらよくぞこのスペースを確保できたな!と絶賛しております。
両方の荷室を見ましたが、50系プリウスの荷室がもともと広いので、E-Fourでも特に気になるレベルではありませんでした。(あくまで私個人の感想です)
その3 燃費が違う!
こちらも軽量化されたとはいえ、リヤにE-Fourシステムを搭載する分の重量増と、4輪で駆動する分などの駆動ロスなどの分も含め、燃費には影響を及ぼします。
FF車の場合の燃費は37.8キロ(Eグレードを除く)、E-Fourが34.0キロ。
30系の燃費が確か34.0キロだったことを思うと、こちらも天さん的にはよくこの燃費にできたな~と感心しているのですが、みなさんはどうお感じになられるでしょう?
その4 マルチインフォメーションディスプレイの表示画面が増える!
こちらもカタログには載っていますし、実際にE-Fourにお乗りの方であればご存じだと思うのですが、FF車に乗っておられる方はへ~!と初めて目にされる方もおられるかもしれません。
E-Fourの作動状況を確認できる表示が一つ追加されます。
プリウスのE-Fourはオンデマンド式と呼ばれる4WD方式で、要するにスリップなどを検知すると後輪の駆動がスタートする仕組みになっています。
ただこれだと例えば雪道で信号待ち待ちなどで停車した後、再発進した際に、どうしても最初FF車と同じ様にスリップを起こしてしまいます。
なので、そのオンデマンドの難点を解消するために、停止からの発進の際には路面状況やスリップの有無に関わらず、常に4輪駆動で発進する方式がとられています。
私も最初は無駄なことするな~!と思ったのですが、実際に雪の上や雪でなくとも濡れたマンホールのふたの上などで停車した際に不安なく発進できるのはありがたいものだな!としばらく走りこんでようやくその良さに気づきました。
話が少し逸れましたが、そういった作動状況を確認できる表示がE-Fourにはあるということで、今書いた発進時には常に4輪駆動で発進をして、その後必要がなければスウ~っと消えていくのが画面で確認できます。
その5 価格が高額になる!
FFのプリウスに比べてE-Fourは約20万円ほど高額になります。
この差額を払い、燃費がやや下がり、荷室スペースが少なくなり、ニッケル水素バッテリーになる。(Aグレード以上の場合)
それを考慮して、それでもE-Fourにする価値があるのか?
天さんの場合は価値あり!と判断したのでE-Fourにしました。
その選択には今でも満足しています。
みなさんにとってはどうでしょうか?お住まいの地域・予算などの関係によって意見が違ってくると思いますので、購入をご検討されている方は慎重に選んでみてください。
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